アイアムアヒーローの単行本表紙に関する考察(第1集〜第20集)
アイアムアヒーローの第20集が発売しましたが、これでこの作品は最新話(239話)のひとつ手前まで単行本化されたことになります。
アイアムアヒーローの単行本の表紙には毎回意味深な絵が載りますが、最近になってようやくストーリーの内容と時系列が合うようになってきました。
本編はいよいよピークに入り、イラストに散りばめられた伏線の回収もぼちぼち出来るようになってきています。
そこで今回は、各巻の表紙について振り返っていこうかと。
一応、最新話や第20集までを読んできた人向けに書きますが、
念のためネタバレ注意です。
〈第1集〉(臨界〜徹子の異変)
登場人物:英雄
ロケ地は、三谷が犠牲となった三原台(東京都練馬区)の歩道橋です。
〈第2集〉(徹子の自宅〜西武池袋線車内)
登場人物:比呂美
本編に先がけて、比呂美は表紙でフライング出演したことになります。
連載開始直後にスピリッツで推されていた当時は、一部ネット上で「誰だこの子?」状態になっていました。
〈第3集〉(西武池袋線車内〜樹海)
登場人物:電話ボックスでの犠牲者
第32話に出てくる、樹海にあった電話ボックスでしょうか。ようやくこの巻から比呂美が出てきます。
血に染まった手のひらが旭日旗に見え、「日本が何だかヤバい事になっている」というメッセージ性を感じました。
あるいはシンプルに比呂美の感染を予告していたのかもしれません。
〈第4集〉(樹海脱出〜政府緊急会見)
登場人物:英雄
単行本の表紙絵には、こういう本編未収録の不可解なイラストがたびたび出てきます。
本編の流れからすると、ロケ地は池袋のサンシャイン水族館でしょうか。
銃を失い即席の槍一本であることから、池袋決戦の終盤、つまりそろそろこういった装備の英雄が出てくると予想されます。
〈第5集〉(北口本宮冨士浅間神社〜荒木と合流)
登場人物:比呂美
墓地を背景にたたずむヒロイン。
池袋周辺でいえば雑司ヶ谷霊園ですね。
何というか、スカートのセンスやカラーコーディネートからして、非リア充ではなくリア充な比呂美のように見えます。
つまり、半感染とは無縁の比呂美なわけです。
もちろん、感染の原因が存在しない世界であれば、その世界で比呂美は今後もリア充なわけです。
“輪廻からの離脱”の正体が何となくわかったような気がします。
〈第6集〉(比呂美感染〜御殿場アウトレット潜入)
登場人物:御殿場アウトレットモールのみなさん
表紙絵にセンスを感じ始めてきた巻です。
こちらを見ている陸上選手タイプのZQN。荒木が庇ったあの少年を暗示しているのでは、とうっすら思います。
〈第7集〉(小田との交流〜居住区へのZQN侵入)
登場人物:比呂美
これは核心に触れたイラストだと思いました。
少しずつ服を脱いでいく比呂美は、まさに彼女の感染度合いを示しています。
〈第8集〉(小田と比呂美の逃亡〜御殿場アウトレット脱出)
登場人物:小田
このイラストも本編未収録なんですが、最近のスピリッツでこのナース姿がリメイクされてました。
背景は御殿場アウトレットでの手錠を外した小屋と思われますが、親子のようだった小田と比呂美が、ひとりの女と女に切り離された場所でもあります。
〈第9集〉(台湾編〜食料調達完了)
登場人物:比呂美
ようやく脱ぎ終わりました。
ZQN集合体に呑み込まれた時も外へ吐き出されたのは制服だけでしたし、女子高生だからブリーフを履けないだけで半感染者の貫禄がにじみ出ています。
〈第10集〉(手錠切断〜久喜編開始)
登場人物:ダニエリ・羽生(兄)・小田(妹)
比呂美の緊急手術を終え、久喜編に入ります。
池袋編でようやくわかりますが、左から戦闘不能になる順で並んでいます。
〈第11集〉(崇の修行生活)
登場人物:来栖
みんな大好きあの男。
表紙はまさかのドピンク。
たびたびビジネス本の表紙がショッキングピンクになるきっかけを作ったあの一冊を思い出しました。
〈第12集〉(久喜編終盤〜比呂美復帰)
登場人物:植物と化す右脚
なぜ「右脚」かというと、何となく骨格がそうだからというのもありますが、池袋で中田たちと同行する義足の少女が患っていたのは右脚で、彼女が毅の胴体を力いっぱい踏み潰したのも右脚だからです。
それはそうと、この作品には「人類の植物化」というひとつの結末が待っているのがほぼ確定したイラストでもあります。
〈第13集〉(ベルギー編〜銃砲店潜入)
登場人物:英雄
英雄がこれまで一緒に戦ってきた散弾銃(MJ-7)をどこかで手放したのだな、というのが伝わってきた、どこか寂しげなイラストでした。
スラッグ銃(MSS-20)を引っさげ、彼は池袋へ向かいます。
〈第14集〉(スラッグ銃入手〜謎の男出現)
登場人物:小田・比呂美
桃鉄でもありましたよね。こういうの。
もう叶わなくなった英雄の夢を表しているのだと思うと、深みの出てくる一枚です。
〈第15集〉(箱根湯本からの脱出〜小田の決意)
登場人物:清掃車
単に小田の最期を暗示しているというよりは、どうしても小田を忘れられない比呂美の“掲示板”に近いものを感じました。
〈第16集〉(小田離脱〜池袋編開始)
登場人物:中田
サンライズ60の生存者たちはなぜかドクロや鬼の面を着用していますが、それらは安易に素性を明かさないための道具だったり、浅田への忠誠を誓うシンボルだったりするのかもしれませんが、個人的には「死相」をイメージしているんじゃないかと思います。
簡単にいえば「死亡フラグ」です。
〈第17集〉(毅による襲撃〜比呂美と英雄の二人乗り)
登場人物:英雄・比呂美
来たるべき瞬間に備え、ゴムを入手したスーパーでドヤ顔の二人。
また、スーパーマーケットでの戦闘態勢というのは、後味の悪すぎる映画でおなじみ『ミスト』と似たような構図です。
『ミスト』は異世界の存在をほのめかすようなストーリーですが、このアイアムアヒーローにも、巨大な子宮の中にいた沢山の胎児が突然どこかへ消えるなど、スケールの大きい謎がまだまだ残っています。
〈第18集〉(性交と統合〜乗船)
登場人物:浅田
作中では花沢健吾がZQNを描き、AmazonではPTAみたいな人たちが☆少なめのレビューを書いたこの有害図書第18集。
浅田が大量のガスボンベと一緒に映っているわけですが、それらはビルの上層へ集まった老人たちを密室(瞑想部屋)で殉教させるための炭酸ガスだと仮定した場合、ひとつ辻褄が合います。
〈第19集〉(バルセロナ編〜英雄くんさよなら)
登場人物:英雄
人間も生活音も消えた世界で、比呂美までも奪われた英雄はふたたび孤独になってしまいました。
ただし、英雄の顔つきがすっかり変わったのは一目でわかります。
〈第20集〉(英雄の決意〜久喜幕府最高潮)
登場人物:中田・桐谷・義足少女・クルス(来栖)
表紙絵史上、もっとも興奮したイラストがこちらです。
まだ本編には出ていないシーンですが、おそらく、これが池袋編のクライマックスに続いていくのでしょう。
ようやく屋上へたどり着いた中田たち。
そこへクルスが中田たちを邪魔者と判断し襲いかかる様子を描いているのでしょうが、それは同時に、クルスがもうひとりの半感染者と対峙する時が来たことも意味しています。しかも今回は異性です。
そしてサンライズビルの勝者を乗せて飛び立つヘリの背後には、あの巨大な巣。
表面のなめらかさは消え、“巣”の本来の役割に向けて変化を始めている模様です。
以上です。
そろそろ、本編の考察も続きまとめないとなぁ……