三澤ブログ(アンリアル)

漫画・映画・ゲームにアニメ、都市伝説に陰謀論。現実世界で疎まれる「もうひとつの現実(=UNREAL)」から、世の中を見つめ直します。

【スピリッツ(アイアムアヒーロー)】今週のネタバレ(2016.6.20〜6.27)

こんにちは。

先週は5月病の後遺症により入院していたため、今回はアイアムアヒーローの2話分をまとめて解説したいと思います。

 

アイアムアヒーロー 第243話

ようやく再開。長かったー。

休載から1ヶ月経った今、もう昼も夜も半袖しか着てない。

 

ってなわけで、清掃車に呑み込まれていった小田が、最期に伊浦の名前を口にした理由について判明しました。これまでの疑問が色々スッキリした回です。

 

まず「伊浦のチ○ポ」(○=ン)とは、小田が妹に取引を持ちかけていた際の会話の断片だったんですね。

感染で呂律が回らなくなった小田の発言を、英雄たちが誤って解釈したと。

「あたしは人間のまま(として)死にたい」というあのセリフも、英雄たちと話す小田・妹と話す小田、という複雑な状況から出た言葉だったわけです。

言葉足らずで周りを振り回す……まさに小田らしい最期だったともいえますね。

そして、池袋の建設現場で英雄を追いかけ回した妹もやはり。。。

 

そんな小田姉妹でしたが、この話でもっとも興味深かったのが伊浦の伏線回収シーンです。

御殿場編終盤。比呂美を抱えて脱出を試みていた小田は、駐車場で今まさに感染が始まろうとしていた伊浦と出くわします。

意識が混濁し始めていた伊浦は普段の冷静さを欠き、小田を前にして支離滅裂な言葉をひたすら吐き出します。

「あー…伊浦終わったな」と小田も読者もため息をついたであろう次の瞬間、伊浦に明らかな異変が起こりました。

 

「誰だよあんた?」

 

伊浦がいきなり、すぐ目の前にいる小田以外の存在と喋り始めるような素振りを見せたのです。

まだ『アイアムアヒーロー』にゾンビパニックホラーとしての印象しか無かった頃は、「これもZQNのクレイジーな生態か?」程度に受け流していましたが、感染した伊浦にはちゃんと見えてたんですね。妹が。

 

また、このシーンは「久喜編は御殿場編よりも前の時系列にあたる出来事だった」とも読み取れます。

そうなると、共食い〜久喜幕府設立と比呂美復活はちょうど同じ時期ですかね。

より強いZQN(半感染者)を生き残らせるため、臨界の首謀者が世界各国でZQNを篩にかけたようなタイミングだったのでしょうか。

ちなみにおもな作中の流れとしては、小田の妹感染→伊浦感染&小田の妹と遭遇→英雄たち御殿場脱出→比呂美復活(この前後で共食い〜久喜幕府設立)、となります。

  

他にも、英雄が箱根で迷い込んだ異世界(=感染者の見る世界)に小田の妹がいた理由も、船の上で英雄の淫夢に小田が現れた理由もハッキリしました。英雄は感染してる。はっきりわかんだね。

 

それと「感染者の意識は感染前の外見を保ち続ける」っていうのはイタリア・ルッカ編でもありましたね。

「“巣”の関係者をサポートするZQNには、多少人間性を残しておいてもらえる」との事ですが。

今回の冒頭、かつて清掃車に砕かれた感染者も、自らの感染を悟った瞬間、血管の浮かび上がっていた顔は元の小田つぐみへと戻っています。

「英雄を助けてやりたい」と願う小田の強い願い。

妹に押し倒されるシーンであのホテルが選ばれたのも「この世界ならなんでもアリ」という特権によって、小田の「英雄と交わりたい」という願望がわずかに反映された結果なのかもしれません。

だから“巣の主”は彼女を許さないのでしょうね。

 

 

アイアムアヒーロー 第244話

これまで「英雄の“能力”にZQNは引き寄せられている」というコンセプトの考察を続けてきましたが、鉄筋を登ってくるZQNを小田の妹が叩き落とすシーンというのは「英雄がZQNに噛まれるのを防いでいる」、そんな、至ってシンプルな構図にも見えます。

「ZQN=英雄を襲わない」という考察もいったん置いておこうと思いました。

しかし小田家の不器用さを見ていると、単に「いきなり大量のZQNが押し寄せて英雄をビビらせないため」みたいなぶっきらぼうな愛情もあるのでは、という見方も出来ます。(妹の中にある小田つぐみの想いが強ければ「英雄に余分な弾薬を使わせない」みたいな気遣いも?)

一方、ZQN目線で見ると、妹の行動は有能な感染者を選別する、感染者特有の自浄作用が働いているのかもしれません。「多くなりすぎたZQNは適度に融合させて、街の清掃役として働かせる」というアレです。

 

そして場面は変わり、最高潮のサンライズビルへ。

久喜幕府の残党が浅田を屋上へ連れ出し、いよいよ本丸へ攻め込みました。

いよいよ、単行本20巻のカバーにいない人物がこれから淘汰されていくようです。

(「いじめっ子は死ぬ」というこの作品の鉄板ルールからすると、春樹は……)

 

また、教典を屋上まで届けに来たあの少年ですが、御殿場に残された少年と同じような状況下にあるのもポイントです。

浅田による“殉教”計画が実行された場合、少年には「家族や愛する者の死」という条件が満たされるわけです。おばぁちゃん……

※ちなみに、18巻のカバーで浅田と一緒に写っているガスボンベは、サンライズビルの生存者(お年寄りたち)を密室で“殉教”させるためのガスだと思われます。

 

 

それでは、桐谷がどう出るか楽しみな次号へ。